巷では年賀状が売り出され、今年も何かと気忙しい季節がやってきましたね。
新しい年を迎える前に、日本人なら決して忘れてはいけない大切なイベントがあります。
今年一年を振り返り、お世話になった方々に感謝の気持ちを伝える「お歳暮」です。
お歳暮とは、その漢字が表す通り、「歳の暮れ」に贈り物をする習わしです。
今回は、知っているようで知らない、この日本の古き良き伝統「お歳暮」について、お話ししてみましょう。
そもそもお歳暮のいわれは、諸説あるようです。
分家の人々が本家に新年の準備に必要なものを贈り、日頃の御恩や先祖の霊に感謝するというものだった、とか、嫁が実家の神様にお供えものとして贈るものだった、とか。
それがやがて、商人のお盆と年末のツケの回収と結びつき、取引先などにも贈られるようになりました。
テレビのニュース等で、祇園花街の舞妓さんたちが12月13日に「おことうさんどす…」とお師匠さんやお茶屋さんに挨拶してまわっているのを見たことはありませんか?
「事多しご繁盛で何よりです」と、お世話になった方々に今年のお礼を伝え、翌年のご挨拶に回る。これこそが、本来のお歳暮の姿。
元々のお歳暮の由来から、今でも、京都や関西のしきたりを重んじる地域では、12月13日の「事始め」以降に、お世話になった人々のもとを一軒一軒訪ね歩き、日頃の感謝を伝え、贈り物を渡し、来るべき年の変わらぬお付き合いをお願いするのが正式であるとされています。
とは言うものの、この情報化社会。
心の距離は近くても、現実的な距離は遠く離れていて…ということも少なくありません。
そのため、最近はお歳暮も時代に合わせて、そのマナーが少しずつ変化してきています。
① お歳暮を贈る時期
先ほどのいわれの話から、関西では、12月13日~12月20日頃までにお歳暮を贈るのが正式とされてきました。
ただ、関東では、12月初旬から贈ることが多いということもあり、最近では、12月に入ったら贈っても良いとされるのが一般的です。
② お歳暮を贈るマナー
昔は、お歳暮を風呂敷に包んで持参するのが普通でしたが、最近では、デパートやお店から直接配送してもらうという人が増えてきました。
特に配送でお歳暮を贈る場合は、送り状と呼ばれるお手紙を、品物と同時もしくは品物が届く前に郵送しておくようにしましょう。
お店によっては、送り状やメッセージカードを同封してくれるところもありますので、相談してみると良いでしょう。
送り状やメッセージカードに、普段使わない和紙や筆を使って書いてみるのもまた素敵な時間の使い方です。相手のことを想って選び、贈る。他人のことを想って考えることに使った時間の分だけ、人生はきっと豊かで充実したものになるでしょう。
③ お歳暮の相場
お歳暮の相場は、3,000円から5,000円とされています。
贈る相手とのお付き合いの深さを考えて、額を決定します。
とりわけお世話になった人には、10,000円以上の品物を贈るということもありますが、あまり高額になってしまって、かえって先方に気を遣わせることのないように注意しましょう。
④ お歳暮に人気の品
毎年、「お歳暮で貰いたいもの」のランキング上位に入る品物は、食料品やお酒類です。
お中元は暑い夏の贈り物ですので、爽快感のあるビールやフルーツなどが好まれますが、寒い冬の贈り物であるお歳暮は、年末のお休みにご家庭でゆっくり味わいを愉しめる日本酒やワインといった酒類、鍋料理などの具材が好まれます。
お酒好きの上司に日ごろの感謝をこめてお歳暮を贈る…。今後も良い関係・ご縁を続けていきたいからこそ、いにしえより伝わる、いわゆる”ムカシノヒト”が大切にしていた、お歳暮の文化を私たちも大切にしたいものですね。
普段できないことをこの機会に思い切ってしてみると、気分も清々しく、なんだかいい新年を迎えれそうな気がしますね。
~お歳暮を贈ったことがない人へ~
この記事を読んでふと頭によぎったあの人に、今年はお歳暮を贈ってみては?
~今年のお歳暮は何にしようと迷っている人へ~
今年1年の出来事を肴に会話も弾む、日本酒はいかがでしょう。
除夜の鐘を聞きながら飲むにも、お正月に昼から飲むにも、日本酒は適していますよ。
⑤ お歳暮を頂いたら…
お歳暮を頂いた場合は、すぐにお礼状を出しましょう。3日以内が適切といわれています。
特に、配送でのお歳暮は、きちんと届いたということの確認にもなります。
通常、お歳暮にお返しは要らないとされていますが、どうしても気になるときには、同等程度の品を贈っても良いでしょう。
日本人は昔から、血縁、地縁…など、人と人の「縁」を非常に大切にしてきました。
このご縁に感謝し、来年もその縁を変わらず紡いでいくために…。
素晴らしい日本の伝統儀礼「お歳暮」で、あなたの「まごころ」を贈りましょう。