秋の味覚の王様、まつたけ。
まつたけは、味と香りの良さだけでなく、お値段も超一流です。
他のキノコ類は比較的安価で手に入るのに、
どうしてまつたけだけがこんなにも高級品として扱われているのでしょうか。
今回はまつたけの不思議に迫ります。
まつたけが高価な理由。
一言で言えば、必要なだけ収穫されないからです。
日本人は、昔からまつたけが大好き。
今から1200年以上前に編まれた万葉集にもまつたけの歌が残っている通り、古の貴族たちも、秋になればまつたけの香を楽しんでいました。
そんなにもまつたけが好きなのであれば、需要に合わせて、たくさん作れば値段も安くなるはずですよね。
実は、そこに、まつたけが高価になる理由が隠されていたのです。
何と、このまつたけ、現代のバイオテクノロジーをもってしても、人工栽培することができないのです。
私たちは、米が必要なら稲を植え、魚も養殖して、重要と供給のバランスを取ってきました。
ところが、まつたけは、全て自然のもの。
たくさん食べたいからと言って、自分たちの手で育てることはできません。
その上、近年、気候の変化や自然破壊の影響か、収穫量も最盛期の100分の1以下に落ち込んできました。
昔は、「まつたけ狩り」まで楽しんだ日本人。
今や、まつたけは幻の高級食材になりつつあるのです。
日本人が愛してやまないまつたけですが、海外での評価はいま一つです。
日本人がまつたけを何万円もの値段で取引していると聞いて、外国人は呆れ顔を浮かべるとか。
外国人の中には、まつたけの香りが苦手だという人も多いようです。
また、国によっては、「まつたけ」と呼んでいるものが、私たちの知る「まつたけ」とは違う場合もあります。
日本のまつたけは、その名の通り、マツを宿主としていますが、海外産のものはブナ科を宿主とするものもあり、遺伝子的にも少し種類が異なるものもあるようです。
とはいうものの、海外から日本にきた外国人に、まつたけと旨い日本酒でおもてなしをすると、断然ヤミツキになる人がいるのも事実。
まつたけの網焼きなどは抵抗のある人も多いので、土瓶蒸しやまつたけご飯など、知らず知らずに箸が進む、上品なまつたけ料理がおすすめです。
旨い素材を上手に引き出す日本人の技と心意気は、食わず嫌いだった海外の人々にも十分通用するのですね。
日本酒もまつたけも母なる大地からの有難い戴き物。
日本人が誇る和食の美味しさ、そして、代々受け継がれてきたおもてなしの心は、海外からのお客様の琴線にも触れるはずです。