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読みもの

春は「花も団子も」味わいたい。

2017.2.18

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ozu_sakuramochi

「花は桜木、人は武士」
一年間待ちわびた桜の盛りはほんのわずか。
桜吹雪となって惜しみなく舞い落ちるその誇り高い散り際は、今年もまた、私たちの目を圧倒します。

「桜はいつが一番美しいか?」と問われて、「散り際だ」と答える日本人は多いものです。
私たち日本人は、長年、桜を人の命にたとえ、栄枯盛衰、諸行無常の儚い美を感じてきました。
そのためでしょうか。
桜は陰陽道では、「陰」の性質を持つ樹木。
「陰」を打ち破るためには、日本酒で浄め、「陽」の宴会を行わなければなりません。
ただお酒を呑んで愉しむだけのように思われた花見酒にも、日本人ならではの深い意味が込められていたのです。

桜に自らの人生を重ね、しみじみと世の儚さを嘆くだけではなく、日本酒を呑み、宴を催し、「陰」を「陽」に変える。
これこそが、幾度も困難から立ち上がってきた私たち日本人の生き様なのかも知れません。

桜に日本酒…と揃ったら、忘れてはいけないのが「花より団子」。
美味しい桜餅です。
実は、この桜餅、関西風と関東風の二種類があるのをご存知でしょうか?

ここ関西では、桜餅といえば、蒸したもち米を乾かし、粗く砕いた「道明寺粉」であんこをしっかり包み込みます。
一方、「長命寺」とも呼ばれる関東風の桜餅は、小麦粉などでできた皮であんこをクルっと巻いたものを指します。

こんなに見た目も異なる桜餅ですが、共通しているのは、最後に桜の葉で包むこと。
日本人の桜を惜しむ心は、西も東も全く変わらないのですね。
「花より団子」ではなく、「花も団子も」味わいたい。
桜の葉さえ、風流に愉しむ日本人の「粋」がこんなところにも表れています。

和菓子と日本酒、一見ミスマッチな組み合わせかもしれませんが、どちらも日本の文化や歴史の中で醸成されてきたもの。
お互いがそれぞれの味の良さを引き出してくれます。
たとえ来年も同じように桜が咲いたとしても、今見る桜は今だけのもの。
桜の花びらを浮かべた日本酒を手に、桜を愛でながら、桜餅を味わって、いまこの瞬間の季節を五感すべてで愉しみませんか。

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