ワインのテイスティングは有名ですが、日本酒にも「利き酒」という言葉があります。
一説では、日本書紀の時代にも遡ると言われる利き酒の歴史。
意外に知られていない利き酒のルールをご紹介しましょう。
利き酒とは、元々日本酒の品質を判断するためのもの。
「唎酒師」や「酒匠」と呼ばれる資格も存在します。
最近では、もっと気楽に、利き酒を楽しもうという人も増え、各地で利き酒会なども催されるようになりました。
利き酒のポイントは、三つあります。
色・香り・味。
そう、日本酒を吟味する際には決して欠くことのできない三点について、じっくりと判定していくのです。
まずは色です。
「蛇の目(じゃのめ)」や「利き猪口(ききじょこ)」と呼ばれる底に青い二重丸の描かれた専用のお猪口に八分目程度入れ、色やテリを確認します。
目で日本酒を愉しむ機会はそれほどありませんから、それぞれわずかに違う色合いや風情を堪能しましょう。
次は、香りです。
「上立ち香(うわだちか)」と言われる飲む前の香りを試します。
本来の利き酒では、時間の経過により発生する「老ね香(ひねか)」や樽の匂いが移ってしまった「木香(きが)」は減点の対象になります。
最後に味を調べます。
味と言うと飲むものだと考えてしまいますが、プロの行う利き酒は、酔ってしまってはいけませんので、飲み込まずに口から吐き出します。
口に含んだ際の香りや、口から出した時の後味が重要なポイントとなりますね。
元祖関西の玄関口、伊丹にある大阪国際空港。
その北ターミナル2階には、「空港銘酒造」と呼ばれるスポットがあります。
なんとここでは、飛行機を待つ時間潰しに、お猪口1杯100円で30種類にも及ぶお酒を利き酒することが可能です。
これは、日本酒好きには堪らない場所ですね。
元来、日本酒は八百万の神々にお供えするためのものだったとも言われます。
褒め言葉が多いワインのテイスティングとは異なり、日本酒の利き酒が減点法で厳しく判断されるのは、「神様に失礼があってはいけない」という日本人の真摯な気持ちによるものなのかも知れませんね。
繊細な日本人の感覚をさらに研ぎ澄ませ、現代まで造り続けられてきた最高傑作「日本酒」。
たまには、肴も話し相手もなしで、静かに真剣にお酒と向き合ってみるのも粋なもの…。