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秋ナスは嫁に食わせるな。そのいわれは?本当は…?

2015.10.23

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nasu

「秋ナスは嫁に食わせるな。」
嫁姑の間に飛び散る火花が見えてきそうなことわざです。
でも、実は、ただそれだけの言葉ではないのかも知れません。

艶のある秋ナスがお店に並ぶ季節になりました。
「茄子紺(なすこん)」と呼ばれる美しい色彩は、まさに「食欲の秋」の代表格。
そんな秋ナスを憎らしいお嫁さんに食べさせるのはもったいない…。
嫁と姑は、前世は恋敵だったと言われるほど難しい関係。
このことわざからは、一筋縄ではいかない嫁姑問題の根の深さが、ひしひしと伝わってきます。

「秋なすび わささの粕につきまぜて よめにはくれじ 棚におくとも」
鎌倉時代の夫木和歌抄にはこのような和歌も収録されています。


けれども、実は、このことわざ、もう一つの違った意味を持つという説があります。
秋ナスとは言うものの、元々、ナスは夏野菜。
夏野菜は身体を冷やしてしまうから、妊娠出産を望む嫁には良くないものだと考えた
姑の気遣いの言葉だと言うのです。

嫁と姑が上手くいかないのは、そもそも嫁にとっての夫、姑にとっての息子、
という一人の男性を大切に思うが故のこと。
どちらも決して根っからの悪人ではないはずです。
このことわざではないけれど、もしかして、腹を割って話したら、姑の「嫌味」も、嫁の「生意気な態度」も
ささいな誤解の積み重ねと言うことも、なきにしもあらず…なのかも知れませんね。

ところで、先ほどの和歌に出てきた、「わささの粕」とは、「早酒の粕」と書きます。
酒粕に漬けた秋ナスの美味しさを詠った歌でもあります。
秋ナスは、粕漬けにしてよし、炊いて焼いて酒の肴にしてよし、とお酒との相性はバッチリです。

「二人して 秋なすを食う 仲のよさ」
狂歌の名人、大田南畝の歌のように、普段は仲の悪い二人さえ、仲良く並んで食べてしまう秋ナスの魅力。
秋ナスと旨いお酒で、秋の夜長に本心から語り明かせば、ほら、犬猿の仲の二人の距離も少し近づいた気がします。

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